あなたは、夫婦関係や親子関係は上手くいっていますか?
上手くいくという基準は、一体何なんでしょうね。
喧嘩ばかりしていても、仲の良い家族っていませんか?
また、表面は綺麗にしていても、お互い心の中では憎しみ合っている家族もいますよね。
これって、何が違うんでしょうね。
私も、夫のことは好きではありません。
いつも喧嘩しています。
仲が良い風には見えません。
今日は、そんな夫婦のお話です。
悪い場所
私の夫は、食べ物と買い物が大好きです。
休みの日はゆっくり家で・・・・過ごすことなんてできません。
どこに行こうか、今日は何を食べようか、そればかり考えています。
私は、そんな夫が嫌いです。
自分ばかりお金もたくさん使いますし、休みの日はゆっくりできません。
お腹は風船のように膨らんでいて、筋肉はありません。
そう、まるで怪盗グルーです。
いや、まあ怪盗グルーは好きなんですけどね。
そんな旦那が、とてもだらしなく思えて嫌いなんですよ。
しかも、しかもですよ、いつも何か問題が起こると私のせいにしてきます。
いつも、何か事件が起こったのは全て私のせいだと言ってきます。
そうです。夫は責任というものをとることが出来ません。全て私に取らせます。
ムカつきません?
だから、言い返しますよ。
100倍は言い返します。
最低な夫の光る場所
そんな夫ですが、仕事だけは真面目に行くんですよ。
小さな造船所で溶接工として働いています。
倒れそうな暑い日も、雨が降っても、雪が降る凍えるほど寒い日でも、休みません。
また、現場はとても危険です。いつ事故に巻き込まれるかわかりません。
私は、そのような過酷な職場で働けそうにもありませんよ。
ま、褒めませんけどね。
数か月前、初めて進水式というものを見に行きました。
進水式というのは、簡単に言うと船の誕生日祝いです。
夫たちの作った船が、名前を付けられて海に浮かぶ日です。
いつもの造船所と違い、その日だけは華やかに装飾され、人々が集まります。
沢山のスーツを着た方が、船を見渡せるような高い位置から見ています。
どこかで見たような、議員さんたちもいらっしゃいました。
神主さんがご祈祷を行います。
お誕生日を迎える船は、造船所にあるレールと船の底が溶接でくっつけられていました。
準備が出来たら、レールから船の底を切り離すんです。
そしてそのレールは海に繋がっています。レールに沿って船が進み、最後に海へ浮かびます。
その溶接部分を切り離すお役目が夫でした。
夫は、この日は汚れていない新しい作業着を着ていきます。
私には全くわかりません。
同じ作業着でしょ・・・・
合図があると、夫たちは仮止め部分を切断していきます。
火花がたくさん散っていました。
そりゃ、火傷もして帰ってきますよね。
接続部分が外れると、船がレールの上を走りだしました。
音楽が流れます。
日本酒が割れ、
沢山の風船が飛び、
いろんな色のテープが空を舞います。
その光景を見て改めて思ったんです。
私の夫は一番底で、造船という仕事を支えているんだなぁと。
汚い仕事をして、綺麗なこの瞬間を作品として作っているんですね。
そして、普段汚いこの仕事だから、今日輝いて見えたということです。
船を作るためには様々な人が携わっています。
舶用機器メーカーさんや鋼材屋さん、保険屋さんも銀行さんもいます。
もちろん、船主さんがいて荷受けさん、商社、運航管理をする海運業者さんなど、様々な会社が関わっています。
よく夫は、底辺の仕事だと自分で言っていますが、底辺でよかったと私は思いました。
底辺だから、今日一番輝けたと思ったんです。
夫が言いました。
『俺の有志、見てくれた?』
もちろん言いました。
『見てなかった。どれ?』
賛否評論あるかもしれませんが、これが私たち夫婦の関係性です。
汚いからこそ、綺麗なところは光ります
普段の夫を見ていると本当にがっかりします。
そして、本当に私は夫が嫌いです。
でも、溶接をしているこの部分だけは、綺麗なんだと、自分で思っています。
人間は、汚いものです。
でも、1つだけ、綺麗な部分があればいいんじゃないかと日々自分に言い聞かせて結婚生活を続けています。(笑)
最後まで見ていただき、ありがとうございました。